「ヴォワイヤージュ ブラン(白い旅)」は、真っ白な布地を出発し、安らぎと調和という普遍的なコンセプトへと至る旅です。創作に際しては、作家の関心はこのコンセプトを一旦離れ、彼が指で触れる素材へとより向けられ、完全には混ざり合わない4つの材料―水、墨、糊、そしてわずかな白絵具―の組み合わせから、遊び心のある作品を生みだしました。これらの材料を扱うには、繊細な手作業が必要とされます。墨を含ませた筆を水に浸すことで黒い水玉模様を描き、これを布地に転写することで、墨が、絵具や糊と統合されます。
このようにして、布地を中心とし、彫刻、写真、絵画といったさまざまな作品からなるコレクションが完成しました。布地の観念的ともいえる曲線を、周りの作品たちが芸術へと昇華させています。
ティエリ・エステルはレユニオン島にルーツを持つ作家で、自身のアイデンティティを欧州に置いています。幼少期より多様な芸術に触れて育った彼は、さまざまな職業と並行して、生涯にわたり創作活動を行っていくことを選択しています。
近年の彼の作品は、その展示場所で制作されています。この多面的な作家は、技術、材料、基材を巧みに組み合わせ、飽くなき追求で作品を完成させます。
ティエリ・エステルはあらゆる作風やテクニックを取り入れます。フランスとヨーロッパで展示されている彼のさまざまなコレクションでは、絵画、彫刻、クロッキーが採用されています。